海外で生まれ育った人たちのアイデンティティ

想うこと

先月だったか、二重国籍を認めないのは憲法違反だと訴えていた人たちの最終判決が、最高裁で下された。判決内容は原告の上告を退け、憲法に違反しないというものだった。

まあ、これに関しては賛否両論があることは最もだ。肌感覚では、日本に住んでいる人たちにとっては当たり前の判決じゃないか!、そして海外在住、特に永住組や国籍を変えた人たちにとっては、なんとも理不尽で、今の時代にマッチしてないと、不平に思う人が多い判決だったのではないだろうか?

私はオーストラリアの永住組ではあるが、市民権を取る、つまり国籍を変えることには興味がない。旅が好きな人間に取って、わざわざパスポートの力をダウングレードする意味ないじゃん!っと言うのが、その理由の一つである。

まあ、オーストラリアのパスポートもかなりいい線いっているが、娘が小学校のときだったか親子でベトナムにいく折に、日本国籍の私はビザはいらなかったが、娘はオーストラリア国籍なのでキャンベラのベトナム大使館に娘のパスポートを送ったりと、人生始めて旅行で海外に行くのにビザを取る面倒臭さに直面した。2017年からはベトナムもe -visaになっているようで、以前のような面倒くさいことをしなくてもよさそうだ。

っと話はズレたが、今日の本題は違うところにある。上記の裁判の件で二重国籍についてと言うより、海外で生まれ育った人たちのアイデンティティについて、ふと考えたからだ。国籍が2つあることは便利だと思う。コレは疑いの余地なし。まあテロの多いい国の国籍の場合は、話はちと違ってくるかもしれないが。

しかし、物理的には便利だが、忠誠心とかアイデンティティに関してはどうだろう?まあ欧米やオセアニアに対しては、この後日本と戦争するなんてことはほぼ考えられないが、太平洋戦争では日系2世の人たちのアイデンティティの苦悩があったではないか?山崎豊子の”二つの祖国”をドラマ化したものがあるが、私の年代はやはり”山河燃ゆ”のタイトルで一年に渡り放送されたNHK大河ドラマが思い出される。

比較的、近年の出来事ではテニスプレーヤーの大坂なおみ選手についてはどうだろう?マスコミでは日本人扱いとなっていたが、私の目から見ると、彼女は日本人よりアメリカ人だと思っている。なぜなら生まれてからほとんどの時間をアメリカで過ごし、思考もアメリカ的だし、日本語も話したいとも練習したいとも思ってなさそうだし、それに日本にはあまり興味がない印象だ。彼女がカツ丼が好きだからといって、”やはり日本人”なんていうのもナンセンスだ。私の周りにはカツ丼、ラーメン、寿司、餃子が好きなオーストラリア人は山ほどいる。

オーストラリアで生まれた日本人の子供は、二重国籍者が多いい。生まれながらに二重国籍のものは、自分から日本国籍の離脱の手続きをしない限りは、一生二重国籍でいられる。えっ?それは違うだろ!日本は二重国籍を認めてないではないか!!っと思われるだろうが、たしかに一応、成人になったときには、どちらかの国籍を選ばなければならないとある。が、実際には努力義務ということで終わり。ただし、これは生まれながらに二重国籍の人たちの話である。成人後に他の国籍を取った人は別である。

この理由について話し始めると、ややこしい説明になる。特に日本に住んでいる人には、なかなかピンとこないに違いない。それに今日のお題は二重国籍を認める云々、の話ではないので先に進む。

海外で生まれた子供のアイデンティティのこと。私の娘は二重国籍ではない。っというより日本国籍の留保をしなかったため、日本の国籍を喪失したというのが正しい言い方だ。生まれたときに二重国籍にすることもできたが、ここで生まれ、ここで育つんだから、オーストラリア人だよなっと私は思っていたし、日本への行き来もビザ無しで苦労ゼロレベルなので(コロナ中は話が違ったが)オーストラリア国籍でいいんじゃんで終わった。また日本の衰退が目に見えていたし、子供が日本の会社で働くことはないだろうし、などとも思っていたからだ。

ワールドカップのサッカーやラグビーの試合も日本とオーストラリアを応援するが、もし日本対オーストラリアだったらと仮定すると私は迷わず日本チームの応援だ。でも娘はどうだろう?子供の時から学校でオーストラリアの国歌に慣れ親しんでいるからには、オーストラリアの国歌斉唱に脊髄反射して、やはり心はオーストラリアチームにあるのではないか?

オーストラリアで生きる社会のほうが私には楽だ。また日本に住んでいたときより、オーストラリアに住んでいる時間のほうが圧倒的に長くなったが、私は日本人のままでいる。日本人以外はありえない選択だ。娘は半分は日本人の血だ。だがこの地で生まれ育ち、アイデンティティとしては彼女は自分をオーストラリア人と思っている。

国籍についてのアイデンティティは、国家レベルで考えると一応どっちか決めておかないと色々なことで不都合が出てくるから、どっちかの国に所属してくださいねっというあたりのものではないかと思うのである。

うーん、今日はまとまりのない尻切れトンボ、要点ズレてるブログになってしまった。リライト確定だな。

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